土壌汚染調査・浄化 株式会社エンバイオ・エンジニアリング

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発表論文

油汚染地の油臭低減対策と油臭の定量評価

(著作者)
  • 長野勝己1
  • 西村 実1
  • 中間哲志1
  • 山内 仁1
  • 長 洋2
  • 城戸浩胤3
  • 1株式会社エンバイオ・エンジニアリング
  • 2三菱化学フーズ株式会社
  • 3三菱化学株式会社

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1.はじめに

近年、油汚染地の問題が顕在化している。油汚染地の問題としては、土壌中に高い濃度の鉱油類が含まれる場合の他に、鉱油類を含む土壌や地下水に起因する油膜や油臭がある。このうち油臭は“臭いの閾値”が小さいため油汚染地では最も顕在化しやすく浄化が困難な現象である。平成18 年3 月に環境省から示された「油汚染対策ガイドライン-鉱油類を含む土壌に起因する油臭・油膜問題への土地所有者等による対応の考え方-」では『油汚染問題は油膜や油臭による生活環境保全上の支障を生じさせること』と定義付けされた。このため、今後油汚染地の対策においては油臭の低 減はより重要な課題となるであろう。

筆者らは給油所などの鉱油類の油臭低減対策として食品添加物として使用されているマンネンロウ抽出物のハーブ効果に着目した。油汚染地の土壌や地下水を対象として、マンネンロウ抽出物を主体とした油臭低減剤を土壌に対して散布や地下水中への注入を行うことにより油臭が低減することを確認した。本論では油臭低減剤を使用した油臭低減対策の実施例と効果の確認について報告する。

2.浄化の方針と原位置浄化法を用いた浄化対策事例

本油臭低減剤は食品添加物(酸化防止剤やpH 調整剤)として使用されているマンネンロウ抽出物を主体としている。油臭低減剤の組成表を表‐1 に示す。

油臭低減の仕組として、従来法は臭いの成分を脱臭剤で包み込んで臭いを消臭させているが、ガソリン臭成分等に対しては効果が低い場合があった。それに対し、本油臭低減剤は、ガソリン臭の揮発成分を防臭成分により不揮発化させてもとの臭いを変化させている。本方法による油臭低減の原理を図‐1 に示す。

3.油臭低減剤の実施例

◎実施例1

過去にガソリンの漏洩のあったガソリンスタンド跡地の地表から深度マイナス3m 付近の土壌を掘削したところ、著しい油臭が認められた。

油臭の認められる掘削土壌約50m3 に対して、油臭低減剤を水道水で10 倍に希釈した液500L をほぼ均等に散布した。(写真①)また、掘削時に湧き出した地下水に対しても同様の希釈濃度にて散布した。(写真②)

◎実施例2

(1)対象地の状況

対象地は過去にガソリンの漏洩があったガソリンスタンドであり、地表から深度マイナス2.0mから2.5m区間の土壌及び地下水でガソリンによる油臭が認められていた。

対象地ではガソリンによる汚染が認められた範囲に位置している地下タンクの入れ替え工事(バックホウによる土壌の掘削→地下タンクの引き上げ→新設地下タンクの設置)が行われることとなり、入れ替え工事の際に強烈に発生する油臭の低減が課題となっていた。

本実施例では油臭が著しい土壌及び地下水を対象として、油臭低減剤の「井戸からの注入」及び「地上からの散布」を行い、油臭の低減効果についての評価を行った。

(2)井戸からの注入

注入井戸の設置、油臭低減剤の調整、油臭低減剤の注入及び効果の確認の順番で実施した。

1)

注入井戸の設置
浄化対象区間に油臭低減剤注入用の井戸(PVC 製、内径2.5cm)を設置した。井戸は全長2.8m、無孔管深度が0~1.8m及び有孔管深度が1.8~2.8mとした。

2)

油臭低減剤の調整
油臭低減剤5L に対して水45L を混合して、10 倍希釈液50L を作成した。調整は注入用ポンプに付属している100L 入りタンク内で行った。

3)

油臭低減剤の注入
注入は油臭低減剤を調整したタンクと注入井戸をホースで連結し、ポンプ((最高圧力0.4MPa、吐出量3L/min))を使用して井戸を通じて対象土壌及び地下水に送り込んだ。注入井戸1 本当たりの油臭低減剤の注入量(希釈液)は50L である。

(3)地上からの散布

油臭低減剤の調整、油臭低減剤の散布及び効果の確認の手順で行った。

1)

油臭低減剤の調整
油臭低減剤20L に対して水180L を混合して、10 倍希釈液200L を作成した。混合作業及び油臭低減剤の保管は500L 入りポリタンクを使用した。

2)

油臭低減剤の散布
バックホウによる土壌の掘削及び地下タンクに引き上げ時に油臭を発生する土壌や地下タンクに対して油臭低減剤を散布した。散布に使用したポンプは「高圧洗浄器(エンジンタイプ、最高圧力3.9MPa、吐出量40L/min、油臭低減剤の到達距離10m程度)」である。1 基の地下タンクの撤去の際に使用した油臭低減剤は200L である。

4.効果の確認・官能評価と油臭成分分析による評価

◎実施例1に対する評価

油臭低減剤を散布した土壌及び地下水に対して油臭低減の効果を確認するために、3章の実施例1で対象となった掘削土壌・地下水に対して散布前と後の油臭の変化を評価した。

通常の評価方法は、現地観察による官能評価であるが、本実験現場では油臭低減剤散布前後の地下水をGC/MS 分析と官能試験との同時測定により定量化して油臭を評価した。各評価方法の結果は、以下の通りである。

①油臭の観察結果

油臭低減剤散布前、散布中及び散布停止時の現場雰囲気(大気)の油臭の変化を観察した。観察の結果、油臭低減剤散布中には現場雰囲気の油臭は低減したことを確認した。(表‐2、表‐3)

②油臭成分分析による評価

油臭低減剤の散布前後の地下水を採取して、散布前と散布後の対象地下水の油臭の変化をGC/MS 分析と官能試験の同時測定にて評価した。

図‐2 の通り、油臭低減剤散布後では油臭の対象となる主の臭い成分が減少し、同時測定した官能試験に基づいた「においライン」以下に低減した事を確認した。

◎実施例2 に対する評価

油臭低減剤を散布・注入した土壌及び地下水に対して油臭低減の効果を確認するために、3章の実施例2 で対象となった土壌・地下水に対して散布・注入前と後の油臭の変化を評価した。

①現地観察による官能評価

油臭低減剤の散布・注入前後の土壌及び地下水を採取して、散布・注入前と散布・注入後の対象土壌及び地下水の油臭の変化を観察・評価した。官能評価の結果、表‐4 の通り土壌や地下水の油臭は油臭低減剤散布・注入後に低減したことを確認した。

5.おわりに

ガソリンスタンドの登録件数は2003年度末には約5万箇所余りと10年前に比べて1万箇所減少している(2)。ガソリンスタンドを廃止する際には、東京都などでは条例によって調査結果の届出を義務付けているが、法律や条例の適用対象外の土地においても環境への意識の高まりや土地売買時の売買契約に土壌汚染の条項が記載されることが多くなっていることから、油分を含めた土壌汚染調査の需要は増加している。

前述したとおり油汚染地の問題としては、油類を含む土壌や地下水に起因する油膜や油臭がある。このうち油臭は最も顕在化しやすく浄化が困難な現象であるが、筆者らはハーブ効果を利用した油臭低減剤を用いて、油臭低減を目的とした現場実験を数例実施し実用化している。また、これまで油臭の評価方法として官能方法が一般的に用いられているが、定性的であり、どのような成分が臭いに関与しているかについての情報が少ない。また、油臭低減剤の効果に対しても、官能試験では、臭いには個人差が生じると考えられている。そこで、今回の研究では油臭低減剤の効果の一つの定量化法として、GC/MS 分析と官能試験との同時測定による油臭成分分析による評価も行った。その結果、使用した油臭低減剤には、油臭の減少とともに油臭の対象となる主の臭い成分が減少することが確認された。

今後は、油臭低減剤を油臭に対してより効果の高い剤へ改良、油臭の臭い成分の判別、地盤に対する添加・注入方法の改善等を目指したい。

[参考文献]

1)

資源環境対策. 石油販売業界における土壌汚染対策. ㈱環境コミュニケーションズ. 2005 年4 月(P66-70)

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