土壌汚染調査・浄化 株式会社エンバイオ・エンジニアリング

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発表論文

油汚染された不飽和帯土壌のフェントン反応剤を用いたオンサイト浄化

(著作者)
  • 長野勝己
  • 和知 剛
  • 草場周作
  • 株式会社エンバイオ・エンジニアリング

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1.はじめに

近年、社会情勢の大幅な変化により日本全国で閉鎖するガソリンスタンドが増えている。閉鎖する際、東京都では「都民の健康と安全を確保する環境に関する条例(略称:環境確保条例)」第116 条に基づき、ガソリンスタンドの廃止、地下タンク・配管等の除去・更新時に土壌汚染状況調査の実施を規定している。さらに、法律や条例の適用対象外の土地においても環境への意識の高まりや土地売買時の契約に土壌汚染の条項が記載されることが多くなっていることから、油分を含めた土壌汚染調査の需要は増加している。

調査の段階で汚染が判明し土壌汚染の浄化対策を実施する場合、汚染土壌を掘削し場外で処理する事例が多いが、その際の環境への負荷や不適切な処分事例が社会的問題となっており、より確実性が高く経済的なオンサイトでの浄化工法が必要とされている。

筆者らは給油所跡地において、油汚染された不飽和土壌のフェントン反応剤を用いたオンサイト浄化を対象地として、「①掘削・フェントン反応剤散布・仮置きによる方法」「②掘削・強制飽和・フェントン反応剤攪拌混合による方法」「③注入ロッド打設・フェントン反応剤注入による方法」の3ケースによる実施例と浄化効果を報告する。

2.試験方法

2.1 サイト情報

図-1に試験サイトの区分、表-1に各区分の汚染土壌の性状をそれぞれ示す。

2.2 浄化薬剤

2.2.1 使用薬剤の設定

事前に実施したトリタビリティー試験により、フェントン反応剤による浄化効果が確認されたため、使用薬剤をフェントン反応剤とした。使用したフェントン反応剤の各薬剤は、弊社の実績により過酸化水素水(35%濃度)、硫酸第一鉄、pH調整剤(クエン酸)とした。

2.2.2 薬剤量の設定

各エリアの使用薬剤量を表-2に示す。また、薬剤量計算の諸条件は以下に設定した。

薬剤量計算の諸条件

過酸化水素水添加率:H2O2重量/土壌重量=1.0%

硫酸第一鉄添加量:Fe2SO4/H2O2=2.0%(モル比)

クエン酸:クエン酸10%水溶液にて0.015ml/g の添加量

対象土量:各エリア50m3

土壌の比重:1.8

表-2 各エリアの薬剤注入量
材料名 散布・注入した水溶液濃度 薬剤量
過酸化水素水 5% 2,000kg
(35%濃度)
硫酸第一鉄 10% 125kg
クエン酸 10% 140kg

2.3 浄化方法

2.3.1 掘削・フェントン反応剤散布・仮置きによる方法(Aエリア)

浄化手順①

浄化範囲の土壌をバックホーにて掘削、仮置きする。

浄化手順②

掘削土を少量ずつ仮置きしながら、フェントン反応剤(過酸化水素水、硫酸第一鉄、クエン酸)を散布する。散布方法は、動力噴霧器により、所定量を散布する。(写真①参照)

浄化手順③

フェントン散布した仮置き土を、48時間後に採取・分析する。

2.3.2 掘削・強制飽和・フェントン反応剤攪拌混合による方法(Bエリア)

浄化手順①

シートパイルに囲まれたエリアを地下水面上部まで掘削する。

浄化手順②

掘削したシートパイル内に、フェントン反応剤(過酸化水素水、硫酸第一鉄、クエン酸)を散布しながら、汚染土壌を埋め戻す。

浄化手順③

埋め戻し飽和状態になった汚染土壌に対し、バックホーによる攪拌混合を実施する。(写真②参照)

浄化手順④

攪拌混合した土壌を、48時間後に採取・分析する。

2.3.3 注入ロッド打設・フェントン反応剤注入による方法(Cエリア)

浄化手順①

ボーリングマシーン(ジオプローブ)にて注入ロッドをGL-3.5mまで打設。注入ロッドをGL-1.5mまで引き上げる。注入ロッドのピッチ(間隔)は、千鳥状に1.5mとした。

浄化手順②

フェントン反応剤(過酸化水素水、硫酸第一鉄、クエン酸)を所定本数・所定数量注入する。

浄化手順③

ボーリングマシーンにてチェックボーリングを実施し、GL-1.5mからGL-3.5mまでの採取土壌を均等に採取・分析する。

2.4 評価の方法

既存調査にてGC-FID法によるTPH分析を実施していることから、浄化の評価も同様とした。浄化効果は、各エリアの既存調査時の分析結果と試験後の分析結果を比較し、減衰率で評価した。

3.結果と考察

3.1 掘削・フェントン反応剤散布・仮置きによる方法(Aエリア)

本浄化工法によるTPH濃度の減衰率(浄化効果)について確認した。表-3に分析結果を示す。

総量の減衰率は63%であり、ガソリンレンジの油分について高い浄化効果がみられるが、ディーゼルレンジの油分については半分程度しか低減してない。

3.2 掘削・強制飽和・フェントン反応剤攪拌混合による方法(Bエリア)

本浄化工法によるTPH濃度の減衰率(浄化効果)について確認した。表-4に分析結果を示す。

総量の減衰率は98%であり、ガソリンとディーゼルの両レンジの油分で高い浄化効果がみられる。

3.3 注入ロッド打設・フェントン反応剤注入による方法(Cエリア)

本浄化工法によるTPH濃度の減衰率(浄化効果)について確認した。表-5に分析結果図を示す。

総量の減衰率は92%であり、ガソリンとディーゼルの両レンジの油分で高い浄化効果がみられる。

3.4 考察

各エリアのTPH濃度総量の減衰率を図-3に示す。

各エリアとも同土量に対して同量のフェントン反応剤を使用したことより、減衰率の差は施工方法の差による浄化効率に比例したものと考えられる。

Aエリアにおける「掘削・フェントン反応剤散布・仮置きによる方法」が他の方法より浄化効率が低くなったのは、一旦フェントン反応剤と汚染土壌を接触させたものの、薬剤が液状であるため、重力浸透により短時間で土壌底部~外部に流れ出てしまい、油分(特にディーゼルレンジ)を酸化分解するのに十分な薬剤との接触時間を保持できなかったためと考えられる。

Bエリアにおける「掘削・強制飽和・フェントン反応剤攪拌混合による方法」では最も高い浄化効果が確認された。これは強制的に土壌をフェントン反応剤で飽和させながらユンボで攪拌混合させることにより、攪拌土壌と薬剤が効率的に接触でき、薬剤で飽和していることにより接触時間が増えたため高い減衰率が得られたものと考えられる。

Cエリアの「注入ロッド打設・フェントン反応剤注入による方法」では、Bエリアに次ぐ濃度低減が確認された。これは打設したロッドからフェントン反応剤を注入することで対象範囲が飽和状態になり、薬剤と土壌の接触時間が十分得られたことが原因と考えられる。ただし、同じ飽和状態でもBエリアの方が土壌を攪拌混合している分だけ効率的に薬剤と接触でき、分解効率が高まったものと考えられる。

4.おわりに

通常、室内でのトリータビリティ―試験は、ビーカー等を用いて十分な時間、均等に薬剤と汚染土壌を接触させているため良好な結果を得やすいのに対し、現地施工では室内試験による薬剤の設計量で浄化効果が伴わず、最終的には掘削し場外で処理するコストと同様になる場合がある。今回の結果を勘案すると、均等に薬剤と汚染土壌を接触させることがより確実性が高い浄化工法であることが確認された。

今回は、砂地盤における試験施工であったが、今後は、粘性地盤や砂礫地盤等に対してもより確実性の高い浄化工法を研究し、オンサイト浄化を確立していきたい。

また、実際の浄化にあたっては、不飽和帯の油汚染が側方や深部へ拡散することがないように、シートパイルを設置したり、モニタリングをしながら進めていく必要がある。

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