土壌汚染調査・浄化 株式会社エンバイオ・エンジニアリング

株式会社エンバイオ・ホールディングス(東証マザーズ:6092)グループ

土壌汚染に関するご相談:03-5297-7288 製品に関するお問い合わせ:03-5577-5528

メールでのお問い合わせはこちら

発表論文

ダイレクトプッシュテクノロジーによる3次元的な汚染の把握と浄化設計への活用

(著作者)
  • 1(株)エンバイオ・エンジニアリング
  • 2(株)エンバイオ・エンジニアリング

PDFダウンロード

1.はじめに

地下水・土壌の調査等によって汚染が顕在化し、浄化対策を実施する場合、正確な汚染状況の把握は欠かせない。特に、原位置における汚染の除去等を行う場合には、汚染状況の把握が不十分であると、適切な対策設計ができず、工事の長期化や対策範囲の過大評価、あるいは見逃しによる汚染の残留を引き起こす可能性がある。

汚染状況を的確に把握するには、できるだけ試料採取地点を細かく設定し、また、深度方向にも細かく試料を採取・分析する必要がある。しかし、実際には、時間的あるいは費用的な制約の中で、できる限りの調査を行うのが通常であり、十分な汚染状況の把握が行えていない場合もあると考えられる。

ダイレクトプッシュテクノロジーと呼ばれる技術のひとつであるMIP (Membrane interface probe)は米国で開発され、国内でもこれまでに様々な事例が報告されており、安原(2011)はMIPの原位置浄化設計および施工に対する有用性について報告している1)。MIPは、土壌に含まれる揮発性のガスを取り込む機能を持ったプローブを土壌に貫入し、地上の検出器(PID, FID等)によりその場で土壌中の揮発性有機化合物の濃度を測定することができる。深度方向に詳細なデータが取得できる上、試料採取、室内分析を実施する必要がないので、短時間で多くの測定を実施することができる。米国では、ASTM2)にその測定方法が規定され、日本においても、油汚染対策ガイドライン3)において、油分の簡易測定法(膜界面サンプリング法)として紹介されている。

しかし、MIPによる測定結果を、浄化対策の設計や施工に対して活用するための具体的方法についての報告は少ない。そこで本報告では、MIPを用いて取得したデータを、原位置における浄化対策の設計に活かすための方法についての考案を報告し、実際の測定事例に基づく汚染範囲の評価の例を紹介する。

2.測定方法

2.1 MIPの測定地点とサイトの概況

MIPによる測定を実施したサイトは、ガソリンスタンドの跡地で、ベンゼンによる地下水・土壌汚染が認められていた。測定する平面範囲は、汚染のおそれがあると考えられる、一辺6.0 mの正方形により囲まれる範囲とし、合計9つ(M1~M9)の測定地点を設定した。また、深度範囲は地表から5.0 mまでとした。
揮発性有機化合物の測定にはPID検出器(10.6 eV)を使用した。図1にMIPによる調査地点と、MIPの測定値と公定法による分析値を比較するための土壌試料採取地点(B1)を示す。

2.2 MIPの測定と公定値の比較

近接した2地点(B1, M1)において、MIPによる測定値と公定法による分析値を比較した。表1および図2にその結果を示す。ベンゼン土壌溶出量とMIPの測定値の間には相関関係が認められ、測定値がおよそ3.0×106 μVを超えるとき、土壌溶出量が環境基準を超過している可能性が高いと考えられる。

2.3 対象範囲の区分け

本事例では、測定対象エリアを一辺が2.0 mの正方形の格子により区分けし、さらに深度を1.67 mごと(対象とする深度範囲を3等分した)に区分けすることにより、対象範囲を27個のブロックに分割し、詳細な汚染範囲(浄化対策範囲)の評価を試みた。各ブロックにおける汚染の有無(対策の必要性の有無の判断)は以下の手順により行った。

  • (1)2.0 m間隔でMIPの測定値の断面図を作成する(図3)

  • (2)断面図を2.0 m×1.67 mの格子で区分けし、それぞれの区画について、汚染の有無を評価する。評価にあたっては、MIPの測定値とベンゼン土壌溶出量との比較、検討結果に基づき、MIPの測定値が3.0×106 μVを超える領域(黄緑~赤で示す部分)を含む区画を汚染有りと評価した。

  • (3)対応するブロックについて、汚染の有無を決定する。

3.汚染評価の結果と考察

各ブロックにおける汚染評価の結果を図4に示す。測定対象範囲(180 m3)のうち、汚染ありとして浄化対策範囲として考えるべき範囲は、8つのブロックであり、約53 m3まで対策すべき土量を限定することができた。また、本事例では、汚染の程度はその有無により2通りで判断をしたが、汚染の状況や、予定される浄化措置の工法によっては、さらに細かく、汚染の程度を数段階に分けることも可能である。これによって、使用する浄化剤の量を汚染の程度に応じて細かく設定したりすることも可能である。

4.今後の展望

MIPは、測定を実施するサイトの土質などの影響により、その測定値は公定法による分析値等に対して常に1対1に定まるものではない。そのため、MIPを用いて汚染状況を把握し、対策範囲を評価するためには、必ず、本事例のように、現地において、公定法による分析値と比較検討しておく必要がある。
公定法による分析値とMIPによる測定値の比較は、完全に同じ地点の試料を用いて比較することができないため(試料採取後の調査孔はMIPの測定に使用することができない。逆も同様)、模擬汚染土壌を用いた室内試験等も合わせて実施し、事例を蓄積する必要があると考えている。
図5は、灯油と軽油よる模擬汚染土壌を用いて、油の濃度とMIP測定値の比較をした結果である。油の濃度とMIPの測定値は高い相関を示しており、油汚染に対しても精度の高い汚染状況の評価が可能であると考えられる。
今後は、このような模擬汚染土壌などを用いた試験も実施しながら、測定精度の向上に努めていきたい。

引用文献

1)

安原雅子(2011):ダイレクトプッシュテクノロジーを使用した詳細調査および浄化設計, 第17回地下水・土壌汚染とその防止対策に関する研究集会講演集.

2)

ASTM Standards: D7352-07, Standard Practice for Direct Push Technology for Volatile Contaminant Logging with the Membrane Interface Probe (MIP).

3)

中央環境審議会土壌農薬部会・土壌汚染技術基準等専門委員会(平成18年3月), 油汚染対策ガイドライン-鉱油類を含む土壌に起因する油臭・油膜問題への土地所有者等による対応の考え方-, 資料B-3

  • 発表論文一覧
  • 実績
  • 会社情報

お問い合わせ

相見積のお問い合わせもお気軽に。セカンドオピニオンとしてもご活用ください。土壌汚染に関するご相談:03-5297-7288 製品に関するお問い合わせ:03-5577-5528

お問い合わせ