土壌汚染調査・浄化 株式会社エンバイオ・エンジニアリング

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発表論文

サンプリング機器の違いによる土壌試料の性状について

(著作者)
  • 堀田朝丈1
  • 草場周作2
  • 佐藤秀之3
  • 1日本地下水開発株式会社
  • 2株式会社エンバイオ・エンジニアリング
  • 3株式会社 ランドコンシエルジュ

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1.はじめに

土壌汚染対策法が施行されて以降、自主調査を含めて非常に多くの土壌汚染調査が実施されている。現在までに、多くのサンプリング機器が導入され、調査に適用されている。近く土壌汚染対策法の一部改正が予定されており、オンサイトあるいは原位置での浄化対策の要求が高まるものと予想され、ますます精度の高い土壌調査が必要になると考えられる。適正な土壌汚染調査を行うにあたっては、多様なサンプリング機器の中から、現場の状況や対策等の目的に適したものを選定し、運用することが重要である。しかし、土壌汚染調査の現状として、サンプリング機器特性の理解不足や先入観から、この「サンプリング機器の選定」が適切に行われていない事例が多く見られる。「サンプリング機器の選定」が適切でないことは、調査精度の低下を招き、汚染原因の究明や浄化工事の施工に影響を与え、調査や浄化工事のコストや工期の増大へと繋がるものである。

そこで筆者らは、実際にサンプリング機器を用いて比較試験を行い、サンプリング機器の特性と土壌試料の性状について整理した。採取された土壌試料の性状、サンプリング機器の長所・短所から、適応条件と改善のための用法について報告する。

2.比較試験方法

2.1 対象機器

現在、主流となっているサンプリング機器として、振動式サンプリング機器(以後、振動式と記す)と打撃式サンプリング機器(以後、打撃式と記す)の2 種類の機器を対象として比較試験を行った。

2.2 試験条件

様々な条件においてサンプリング機器の特性を比較するために、模擬的に作製した人工地盤と自然地盤2 例(砂層、粘性土+砂礫層)において土壌試料採取を行った。

人工地盤は、挟在層の採取状況を確認するために、塗料で染色した珪砂を鍵層として挟んで作製した。

人工地盤の作製手順および仕様は次の通りである。(写真-1)

(1)

バックホウで深さ2.5m のトレンチを掘削する。

(2)

掘削したトレンチを山砂(細砂)で埋め戻す。

(3)

山砂で20 ㎝分埋め戻す毎に、塗料で染色した珪砂を約2 ㎝分挟むように埋め戻す。

(4)

2.5m 分を埋め戻す間に、全部で11 層の珪砂層を挟在する。

なお、作製した人工地盤は地下水位より浅い不飽和帯砂層である。

3.比較試験結果

3.1 サンプリング機器の仕様

試験対象としたサンプリング機器の仕様は表-1 に示す通りである。両機とも土壌・地下水汚染調査用という目的に特化して作られているため、大きさ、重さ、運動性は類似している。ともに4 トン車にて積載・運搬し、現場内は装備したクローラで自走して移動することが可能である。

3.2 土壌試料採取状況

1)人工地盤(砂層に染色珪砂層を挟在)

人工地盤における土壌試料の採取状況を表-2 に示す。

2)自然地盤A(不飽和帯砂層、飽和帯砂層)

自然地盤A の土層状況は次に示す通りである。自然地盤A における土壌試料の採取状況を表-3 に示す。

<土層状況>
0 ~ 0.75m 埋土(砂質土)
0.75 ~ 3.00m 砂(細砂主体、一部中砂層挟む、粘土分若干混入) 自然水位はGL-1.20m

3)自然地盤B(粘性土→砂層→砂礫層に変化)

自然地盤B の土層状況は次に示す通りである。自然地盤B における土壌試料の採取状況を表-4 に示す。

<土層状況>
0 ~ 1.50m 埋土(砂礫、粘性土)
1.50 ~ 1.75m 粘性土(砂質シルト)
1.75 ~ 2.50m 砂(上部は粘土分を含む、含水多い)
2.50 ~ 5.00m 砂礫(マトリックスは粒径不均一な砂、礫はφ5~50 ㎜亜円礫~亜角礫、シルト分若干混じる。含水多い) 自然水位はGL-1.50m

4.考察

4.1 比較試験の結果のまとめ

比較試験の結果をまとめると、次の通りである。

1)振動式

① 人工地盤(軟弱地盤)、不飽和帯砂層、粘性土層では概ね良好な試料が採取できる。
② 飽和帯砂層では試料採取時に液状化現象が生じ、コアの上部では土壌の攪乱が顕著である。
③ 砂礫層ではマトリックスの攪乱、礫の移動、マトリックスへのスライムの混入が生じる。
④ 玉石混じり砂礫層では試料の加熱、マトリックスへのスライムの混入が生じる。

2)打撃式

① 飽和帯砂層、不飽和帯砂層、粘性土層では概ね良好な試料が採取される。
② 人工地盤(軟弱地盤)、粘性土層ではコアの圧縮が生じる。
③ 砂礫層ではマトリックスの攪乱が若干生じる。
④ 玉石混じり砂礫層は掘削困難である。

4.2 土壌試料の性状

サンプリング機器毎の土壌試料の性状を表-5 に示す。「○」は試料の性状が良好な場合を示し、「△」は分析試料として供することはできるが、分析結果の解釈には注意が必要である場合を示す。土壌試料の性状から、分析試料に供することができない「×」の評価をする試料は無いが、「△」に評価されるものが多くあることに留意が必要である。無条件に分析試料に供することができる「○」の試料でないことを認識した上で分析結果の解釈を行わないと、適正を欠く調査結果につながる可能性がある。

4.3 コアの伸び・縮み

土壌試料の性状悪化の要因の一つとして、コアの伸び・縮みがあげられる。振動式ではコアが伸びる場合が多く、打撃式ではコアが縮む場合が多い。振動式では、スライムとコアを区別することとコアが伸びた箇所の把握が重要である。打撃式では、土壌の攪乱が少なく層序等は判定できるが、コアが縮んだ箇所の把握が必要である。特に油汚染の調査の場合は、土壌試料性状の把握に特に注意が必要である。油汚染は地下水位付近に滞留し、LNAPL の厚さは極わずかとなる。コアを精度良く観察し、性状について判断することが調査の鍵となる。

5.まとめ

5.1 土壌試料性状の改善方法

今回の比較試験の結果を踏まえて、土壌試料の性状を改善する方法としては、次の事項があげられる。

1)振動式

① 飽和帯砂層では、コア採取長を短くし、サンプラーに振動をかける時間を可能な限り短くする。
② 砂礫層、玉石混じり砂礫層では、無水掘削とせず、清水を少量送水し、コアチューブの冷却、破砕スライムの排除を行う。

2)打撃式

① 人工地盤(軟弱地盤)、粘性土層、砂礫層では、コア採取長を短くし、コアの圧縮を抑える。
② 人工地盤(軟弱地盤)、粘性土層では、打撃力を小さくし、コアの圧縮を抑える。

5.2 その他の特長

今回の比較試験の結果とこれまで現場にて経験したことを踏まえて、サンプリング機器の特長をまとめると、次の通りである。

1)振動式

① ケーシング併用掘削のため、同工程で井戸を設置することができる。
② 大口径ケーシングを使用することにより、口径100A までの井戸を設置することができる。
③ 試料採取量が多く、分析項目数が多い場合に適している。
④ 掘削で生じる残土量と残孔を閉塞するために必要な土量が多い。

2)打撃式

① 井戸の設置は土壌試料採取とは別工程で行う。
② 打ち込み式ケーシングを使用するため、井戸設置のみとする場合には、作業が迅速である。
③ 口径50A までの井戸を設置することができる。
④ 専用の地下水サンプラーを使用することにより、井戸設置無しで地下水調査をすることができる。
⑤ 各種ダイレクトセンシングツールにより、公定法分析以外の調査方法の適用が可能である。
⑥ 試料採取量が少ないので、分析に必要な量の確認が必要である。
⑦ コア径が小さく、掘削スライムが発生しないので、残土量が少なく、残孔を閉塞するために必要な土量が少なくて済む。また、クローズドサンプラーであるため目的の深度区間のみでの試料採取が可能である。

5.3 特長を踏まえたサンプリング機器の用法

今回の比較試験の結果を踏まえて、土壌試料の性状を改善する方法としては、次の事項があげられる。

1)振動式

① 人工地盤、軟弱地盤に適している。
② 分析項目が多い場合に適している。
③ 液状化する地盤(飽和帯砂層)には適していない。
④ VOC・油汚染の調査においては、振動による影響を把握して適切な判断を下す必要がある。

以上のことから、土壌汚染状況調査に適していると言える。

2)打撃式

① 液状化する地盤(飽和帯砂層)に適している。
② 特定の試料採取深度を設定した調査に適している。
③ 調査地点数の多い土壌・地下水汚染調査に適している。
④ 井戸設置のみを行う場合に適している。
⑤ 人工地盤、緩い地盤、玉石混じり層、分析項目が多い場合には、コアの圧縮等、その特性を理解する必要がある。

以上のことから、詳細調査、汚染原因究明調査、浄化のための調査に適していると言える。また、原位置浄化工事、公定法分析以外の各種調査にも応用することが可能である。

6.おわりに

サンプリング機器の的確な運用と土壌試料性状の判定を行うことにより、土壌汚染調査の精度を向上させることができる。調査精度を向上させることは、汚染原因の究明や適切な浄化工事の設計・施工に繋がり、引いては土壌・地下水汚染対策事業全体のコスト縮減や工期短縮に繋がるものである。本報では、土壌試料の観察を元に、サンプリング機器の適用の可否について検討した。今後は、各種物理・化学試験を加えた検討を進め、サンプリング機器の選定や、土壌試料性状の判定について、より詳細な評価基準を提案したいと考えている。

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